遺言

「遺言」はなぜあった方がいいのか、なぜ「争族」防止になるのか・・・
それは、「遺言」の内容が法定相続よりも優先されるからです。
きちんと自分の意思を「遺言」で明確にしておけば、相続の手続きがスムーズに進めることができるので、
その結果「争族」を防止することができるというわけです。

遺言とは

同じ「遺言」でも、実は2つのものがあります。
 1.財産や身分について「法的な効力」が生じるものと、
 2.自分が遺された人たちに伝えたい言葉です。
1.の法的な効力が生じる事項については、内容や様式について厳格な要件が定められています。
2.は、法的な効力こそありませんが、自分の家族への思いを伝えたり、相続人間の感情的な対立を緩和したりすることが出来ると思います。
以下、このページでは、1.の法的な効力をもつ「遺言」についてご説明します。


財産や身分について「法的な効力」が生じるもの

相続に関する事項 ・遺産分割方法の指定・指定の委託
・相続分の指定・指定の委託
・特別受益者の持ち戻しの免除
・推定相続人の廃除または廃除の取り消し
・共同相続人の担保責任の定め
遺産の処分に関する事項 ・一般社団法人の設立
・信託の設定
・生命保険金の受取人の変更
身分に関する事項 ・未成年者の後見人
・認知
遺言の執行に関する事項 ・遺言執行者の指定、指定の委託
その他 ・祖先の祭祀承継者の指定
・遺言の撤回
これらのこと以外のことは記載しても「法的な効力」はありません。
ただし、「付言事項」として、家族への思いや特別な願いを書いておくと遺された家族への大事なメッセージにはなると思います。

遺言の方式

自分で書いて作成する方法・・・自筆証書遺言、秘密証書遺言
公正証書で作成する方法・・・公正証書遺言

●自筆証書遺言のメリットとデメリット

メリットデメリット
・誰にも見られずに一人で作成できる
・紙と筆記具代以外は費用がかからない
・遺言書の書きなおしが簡単にできる
・方式不備によって遺言が無効になるおそれがある
・内容が不明瞭でかえってトラブルになるおそれがある
・偽造、変造、隠匿をされるおそれがある
・発見してもらえないおそれがある
・裁判所での検認手続が必要になる

●公正証書遺言のメリットとデメリット

メリットデメリット
・公証人が作成するので、内容が無効になることが少ない
・偽造、変造されるおそれがない
・発見してもらえないという事態を避けることが出来る
・裁判所の検認手続は不要になる
・手間と時間がかかる
・作成費用がかかる
・証人が2人以上必要なため、内容が第三者に知られてしまう